かつて「相棒」だった先輩へ。
今週のお題「部活動」
フライを捕ろうとしてミットを出した時、
青い空から真っ白いボールが降ってくる光景を見ると、先輩の言葉が聞こえてくる。
「結衣ちゃんがソフト好きだなって思うのって、どんな時?」
自分がどんな言葉を返したかは覚えていない。
でも、先輩の「答え」は一生忘れないと思う。
「わたしはね、青い空からこうやってボールが落ちてくる時。好きだなぁって思う」
こうやって、と言って彼女が投げ上げた白球が、ゆっくりと降りて来て、先輩のグローブにおさまる。
単純に、きれいだなと思った。
それから、わかるな、とも。
私はたぶん、先輩の問いに私なりの答えを返したはずなんだけど、先輩が好きだと言った光景があまりにもしっくりきてしまった。
わかります、私も好きです、くらいのことは言えたんだろうか。
そんなことすら覚えていないけど。
高校はソフトボール部に入っていた。
人数少なくて、合同チーム組んで試合に出させてもらったり、遠征行って練習試合させてもらったり、チーム内でもめたり、その度、チームを組む学校が変わったり。
本当にいろいろあった。
部活動のエピソード、と言われたら、それだけで50は記事が書けるんじゃないかと思う。
でも、一番最初に頭に浮かんだのは、冒頭に書いた光景のフラッシュバック。
青と白、そしてグローブの黒。
そして、ああ、やっぱりソフト好きだなぁと、わたしも思うのだ。
幸いなことに、今も私はソフトボールを続けている。
いわゆる「ママさんソフト」というやつで、親と同世代の方もいれば、それより上の方も、私の同級生も後輩も、若いママもいる。
高校の部活とは違うけど、だからこそ楽しくて面白くて、どんどんソフトが好きになっている気がする。
チームメイトも、みんなかわいがってくれるし、本当に素敵な人ばかりで、このチームでプレイができて本当に幸せだと、心の底から思っている。
かつて「相棒」だった先輩と練習した時間の、すでに5倍以上の時間を今のチームで過ごしているから、愛着という意味では現チームに分があるかもしれないけど。
部活動、と言われて思い出すのは、この先もずっと青と白と黒、そして先輩の「相棒」だったことなんじゃないだろうか。
今のチームでも同じことを聞いてみたいと思う。
きっとみんな違う答えが返ってきて、すごく面白いはず。
青と白と黒のフラッシュバックを、塗り替えるような答えは出てくるだろうか。
そして、今度先輩と会ったら聞いてみたいとも思う。
「先輩がソフト好きだなって思うのって、どんな時ですか?」
返ってくるのは、あの時と同じ答えだろうか。
それとも、先輩はもう忘れてしまっているだろうか。
私だけ覚えているのはちょっと悔しいから、もし忘れていたらこの記事を読んでもらおうか。
今のところ、先輩と再会できる予定はないけれど。